Exoproteome of calorie-restricted humans identifies complement deactivation as an immunometabolic checkpoint reducing inflammaging.
Manish Mishra, et al.
Nature Aging (2026), online ahead of print. DOI: 10.1038/s43587-026-01107-0.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41974968/
今回は、カロリー制限を実施したヒト臨床研究のデータを起点として、炎症老化を抑制する新たな介入標的を同定した論文を紹介します。
Comprehensive Assessment of Long-term Effects of Reducing Intake of Energy (CALERIE-II)は、非肥満の健常成人218人を対象に、2年間のカロリー制限効果を検証したランダム比較試験です。研究チームは、この試験参加者のうち42人について、ベースライン時および2年後の血漿プロテオーム解析を実施しました。その結果、カロリー制限により、C3aを含む補体関連タンパク質が、BMIとは独立して減少することを見出しました。一方で、加齢に伴い血中C3aレベルが増加することを、ヒトおよびマウスで確認し、その主要な供給源が内臓脂肪に存在するマクロファージであることを明らかにしました。また、ERK経路を介したC3aのオートクライン機構が、炎症性サイトカイン産生に関与することも示されました。興味深いことに、これらのマクロファージは細胞老化の表現型を示しませんでした。さらに、C3a阻害によって、老齢マウスにおける炎症老化が抑制されました。加えて、長寿命マウスであるFGF21トランスジェニックマウスおよび、カロリー制限を模倣するとされるPLA2G7ノックアウトマウスでは、加齢に伴うC3a増加が部分的に抑制されることも示されました。
このように、本研究では、カロリー制限を模倣する新たな介入標的として、補体C3aが見出されました。しかし、著者らも述べているように、感染防御における補体の役割を考慮すると、臨床応用に向けては慎重な検討が必要と思われます。また、細胞老化の表現型を示さない加齢関連マクロファージが関与している点も、注目すべき知見であると感じました。
(文責:藤田 泰典)
